屋根勾配について知ろう!
2018/03/26
屋根の形といえば、三角形をイメージされる方も多いでしょう。
日本の家の多くは勾配をつけることで、雨水を流れやすくしたり、屋根に降り積もった雪を下に落としたりするなどの役割を果たしています。
今回は、こうした屋根の勾配について説明します。
■屋根の勾配を表す「勺配数」とは
屋根の勾配(傾斜の度合い)を表したものを、専門用語で「勺配数」といいます。
勺配数は、昔の長さの単位である「寸(1寸=約30cm)」を用いており、水平距離で10寸(約3m)に対して、高さが何寸あるかで表します。
例えば「3寸勾配」の場合、水平距離10寸に対して高さが3寸の勾配がある屋根というわけです。
これを角度でいえば、3寸勾配は約17度となります。
一般的な日本家屋の屋根の勺配数は3~5寸勾配が多く、これを「並勾配」、6寸勾配以上を「急勾配」、3寸以下を「緩勾配」といいます。
■屋根勾配と屋根面積の関係
屋根の面積がもっとも狭い形状は、真っ平らな屋根(陸屋根)です。
そして、勾配が急になるほど面積が広くなります。
面積が広くなれば、使用する屋根材も多くなりますし、屋根塗装などの工事の際にも塗料を多く使うことになります。
ただし、勾配のない陸屋根や勾配数の低い緩勾配の屋根の場合、排水や防水などの工事をしっかりやらないと、雨漏りの原因につながります。
このため、陸屋根や緩勾配だと屋根材として使われる素材が限定されます。
ちなみに、金属屋根は1寸勾配以上、スレート屋根は3寸勾配以上、瓦屋根は4寸勾配以上という最低基準がありますので、覚えておきましょう。
■急勾配・並勾配・緩勾配のそれぞれのメリット・デメリット
では、理想的な勾配はどれなのでしょうか。ここで、急勾配・並勾配・緩勾配の3つのメリット・デメリットを見てみましょう。
・急勾配のメリット・デメリット
- メリット
・水はけが良く、また雪も積もりにくいので、雨漏りなどもしにくい
・雨水で汚れが流れやすく、屋根の耐久性が高まる
・屋根裏の空間が広くなることにより、断熱効果が高くなる
- デメリット
・屋根面積が広くなるため、建築費や塗り替えのコストが高くなる
・斜度が急なため工事が難しくなり、工事費用もかさむ。
・台風など強風の影響を受けやすい
・並勾配のメリット・デメリット
- メリット
・適度な斜度で雨水が流れやすいので、雨漏りがしにくい
・メンテナンスなどの際に足場を設けなくてもできるため、コストが安くなる
・屋根材として使える素材が多い
- デメリット
・特になし
・緩勾配のメリット・デメリット
- メリット
・屋上スペースも使え、土地の有効活用ができる
・台風など強風の影響を受けにくい
・メンテナンス工事も容易
- デメリット
・水はけが悪く、雨漏りのリスクが高くなる
・汚れがたまりやすい
・使用できる屋根材が限られる
■まとめ
こうして見ていくと、日本の風土には並勾配がもっとも適していると考えられます。
とりわけ、4寸勾配の屋根がベストとされます。金属・スレート・瓦、いずれの屋根材も使えますし、雨漏りがしにくく、またメンテナンス工事などのランニングコストも抑えられる点で、4寸勾配がベストなのです。
屋根勾配は、雨量や積雪量など地域の気候風土も関係します。どのような形が良いかは、地域の建築会社などと相談して決めると良いでしょう。