
皆さんはルーフィングという言葉を聞いたことはありますか?
雨漏りを防いでくれるのは「屋根材のおかげ」という認識を持っている方も多いのではないかと思います。
もちろん、屋根材も雨漏りを防いでくれますが、台風など横風を受けた雨には屋根材だけでは防げません。
それでも雨漏りしないのは、「ルーフィング(防水紙)」があるから。初耳の方も多いかもしれませんが、「ルーフィング」は住まいを守る重要な役割を果たす建築素材なのです。
■2次防水の役割を果たす「ルーフィング」
ルーフィングとは、屋根の下地となる野地板に施工される、厚さ約1mmの防水シートです。
屋根材の下に敷かれているため普段あまり目にすることはありませんが、屋根の防水性能を高めるのに重要な役割を果たしてくれるのがルーフィングなのです。
いわば、屋根材が1次防水、ルーフィングシートが2次防水と二重構造で防水性を高めていると考えられます。
逆に、雨漏りの原因の多くは、ルーフィングの破れによるものが多くを占めます。
■ルーフィングの種類
ルーフィングは、大きく「透湿系」と「非透湿系」の2種類に分かれます。
・透湿系のルーフィング
透湿系のルーフィングは、水は通さないが湿気は通すという優れた防水シートです。
耐久性も高く、一度施工すれば50年は張り替える必要のない商品も出ています。
いわゆる長期優良住宅のような耐久性の高い建物が多い欧米諸国では透湿系のルーフィングが多く採用されていますが、コストが高いため日本ではあまり採用されていません。
結露を防げるなど高い断熱住宅には適した防水シートです。
・非透湿系のルーフィング
日本の多くの新築住宅に採用されているのが、非透湿系のルーフィングです。
その代表的なものが「アスファルトルーフィング」という商品。防水性が高く価格も安い点で、もっとも多く採用されています。
ただし、耐用年数は約10年と短く、破れやすいのが難点です。
そこで、従来のアスファルトルーフィングに合成ゴムや合成樹脂を混入された「改質アスファルトルーフィング(ゴムアスルーフィング)」という商品も普及し始めています。
■ルーフィングの固定方法
ルーフィングを野地板に施工するには、大きく2つの方法があります。
一つが、タッカー(大型のホッチキスのようなもの)で野地板に留めていく方法です。
もっともポピュラーな方法ですが、タッカーで留めた部分から雨水が浸入し、雨漏りの原因になることがあります。
そこでタッカーを使わず、粘着性のあるルーフィングを用いるのが2つ目の方法。野地板に張り付けるだけの仕様となっており、防水性が極めて高く、特にガルバリウム金属屋根材には多く採用されています。
■まとめ
ルーフィングは、住まいの長寿命化やメンテナンスコストを抑えるという点でも、とても重要な建築素材です。
対応年数の長いものも登場していますが、屋根工事の際にルーフィングも一緒に変えられるよう、屋根材の対応年数と同じものを選ぶのが、もっともコストパフォーマンスが良いといえるでしょう。